なおしもん

修理して使えるのが漆器の良いところ
輪島の塗師屋と漆職人は、漆器の修理を『なおしもん』と呼んでいます。
長年お使いしている什器、調度品、家具、仏具や祭具も全面修理で新品同様に生まれ変わります。

以下は『なおしもん』の参考例です。
1.修理前
お預かりの卓(飾り用の台)は、漆の剥がれが発生していました。
傷のついた所から剥れが発生してしまうとこのように広がってしまう場合があります。
今回は痛み部分が多く広いため、『輪島仕立て』にて全面修理を行うことになりました。

2.修理前
裏面の足部分は一番傷みやすい部分なので、同じように漆が剥がれてしまっています。

3.4.剥離作業
施してある漆を砥石やサンドペーパーで落とします。
5.下地塗/輪島仕立て (堅牢にさせるための輪島塗の特徴) ※5の写真は他の器物です
 『布着せ』 
 漆を滲み込ませた麻布や寒冷紗を傷みやすい部分に着せて補強します。
 『地の粉』 
 珪藻土を蒸し焼きにし粉状にしたもの。木地との定着が良く、漆の剥離を抑えます。
この地の粉を漆に混ぜた下地漆をヘラで塗り、乾かして研ぎと3段階に分け繰り返します。

6.7小中塗り
黒めた漆をここから刷毛で塗り、乾いたら研ぎをして次に塗る漆の定着を良くします。

8.9中塗り
ここから色合わせをした朱(赤)色の漆を塗ります。乾いたら再度研ぎをして次に塗る準備をします。
10.上塗り
日本産漆を使った上塗り漆を仕上げに塗ります。

11.完成
修理前と同じように金箔を貼り、文字入れをし完成です。
今回は「輪島仕立て」にて全面修理を行いましたので、他産地のお品が輪島塗として生まれ変わりました。

状態によっては『部分修理』で傷みを抑える方法もございます。
今回のように他産地の漆器でも修理は出来ます。まずは傷みが広がらないうちに修理するのが一番です。
塗師屋傳兵衛では、数多くの『なおしもん』を手がけております。
お気軽にご相談ください。
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